Nature ハイライト
化学:配向基を用いないC–H官能基化
Nature 577, 7792
有機分子のC–H結合の直接官能基化は、合成における効果的な方法である。一般的に、複数のC–H結合を持つ化合物において1つのC–H結合を選んで官能基化するには配向基を用いる必要があり、配向基はその後、(可能なら)生成物から外さなければならない。今回J Yuたちは、β-アミノ酸配位子とPd触媒作用を用いるカルボン酸のC(sp3)–H官能基化を報告している。彼らは、配向基を用いずに高いβ位選択性を達成し、合成の要としての環状化合物βラクトンを得ており、この反応は多くの事例で精製を必要としなかった。著者たちは、そこからさらにさまざまな求核剤を加え、汎用的な戦略で一連のβ-官能基化生成物を得ている。tert-ブチル過酸化水素酸化剤は、この反応を実現できるという点で特異であり、おそらくこの酸化剤がPd(IV)中間体を形成し、その還元的脱離によってラクトンが生成可能になると思われる。
2020年1月30日号の Nature ハイライト
物性物理学:水素の金属化
物性物理学:双対性の力学的メタマテリアルの設計
工学:ナノスケールデバイス
化学:配向基を用いないC–H官能基化
進化学:シュム・ラカ遺跡の古代ヒトゲノム
幹細胞:ストレスにより活性化された交感神経系が白毛化を促す
免疫学:実質腫瘍に対する免疫応答における髄膜リンパ管の役割
心血管生物学:闘争・逃走反応を解明する
計算生物学:タンパク質構造を予測するニューラルネットワークがさらに進歩
構造生物学:SAGA複合体の構造