Nature ハイライト
Cover Story:噴火と雨:2018年のキラウエア火山の噴火を極端な降雨が誘発した可能性
Nature 580, 7804
表紙は、米国ハワイ島のキラウエア火山の2018年の亀裂噴火時の溶岩流である。今回J FarquharsonとF Amelungは、極端な降雨によって大量の溶岩の流出が生じた可能性を示す、モデル化による証拠を提示している。降雨によって浅部の火山活動が変わり得ることは知られているが、降雨がマグマの移動に関連するより深部にまで影響を及ぼし得るかどうかはよく分かっていなかった。著者たちは、2018年の噴火前の数か月間に降った記録的な大雨がキラウエア火山の地下に浸透し、地下水の圧力をこの50年で最も高い値まで増大させたと提唱している。これによって、岩盤が弱くなり、割れ目ができてマグマが新たな場所へ上昇できるようになり、最終的に噴火が生じたと思われる。著者たちは、1790年以降のキラウエア火山の噴火史を改めて調べ、噴火の約60%が、1年の最も湿潤な時期に起こっていることを見いだした。彼らは、降雨と火山活動のつながりをより深く理解すれば、火山活動の予測を改善できる可能性があると示唆している。
2020年4月23日号の Nature ハイライト
天文学:遠く離れた連星系からの接触連星小惑星の形成
ナノスケール材料:二次元における電子相関の光学分光測定
物性物理学:スピン流を制御する強誘電体的な秩序
生態学:生物多様性の気候限界を超える
進化学:現生種を見ても進化の歴史は分からない
考古学:洗っていない土器は歴史に残る
がん:高頻度変異はグリオーマの進行と再発を形作る
がん:間葉系ニッチは腸の腫瘍発生を制御する
生化学:ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼは脂質の生合成を促進する
細胞分裂:時期尚早な姉妹染色分体分離を防ぐための第2の機構
細胞分裂:セパラーゼは有糸分裂にかける最短時間を調節する