Nature ハイライト
Cover Story:熱帯林の温暖化実験:温暖化によって増える熱帯の土壌からの炭素放出
Nature 584, 7820
気候が温暖化すると、土壌の有機物が不安定になり、大気中に放出される二酸化炭素(CO2)の量が増える。温帯地域の森林については、土壌温度を2年にわたり4°C上昇させるとCO2排出量が最大37%増えることが示されているが、熱帯の土壌は温暖化に対する感受性がより低いと考えられている。今回A Nottinghamたちは、この想定に疑問を投げ掛ける、土壌温暖化実験の結果を提示している。彼らは、パナマのバロ・コロラド島にある低地熱帯林(表紙)で土壌の温暖化実験を行った。土壌温度を2年にわたり4°C上昇させたところ、CO2排出量が55%と予想以上に大きく増大した。今回の結果は、熱帯の土壌が温暖化に対して非常に敏感であり、気候変動に対してかなりの正のフィードバックをもたらす可能性があることを示唆している。
2020年8月13日号の Nature ハイライト
物性物理学:菱面体晶グラファイトにおける強い電子相関
ナノスケール材料:バックリング構造を持つグラフェンの強い電子相関
生態学:小さな生息地断片では個体群動態の変化が生物多様性を低下させる
エピゲノミクス:ヒトのDNアーゼI高感受性部位の指標付け
神経科学:ASDマウスモデルの社会的行動の薬理学的な回復
公衆衛生:ヨーロッパにおけるCOVID-19に対する非医薬品介入の効果を推定するためのモデル化手法
感染症:COVID-19に対する社会政策の影響を定量化する
メカノバイオロジー:皮膚の伸張が皮膚の伸展につながる仕組み
化学生物学:標的タンパク質の分解を誘導するキメラ