Nature ハイライト
公衆衛生:ヨーロッパにおけるCOVID-19に対する非医薬品介入の効果を推定するためのモデル化手法
Nature 584, 7820
S BhattとS Flaxmanたちは今回、ヨーロッパでのCOVID-19の拡散に対するロックダウンなどの非医薬品介入の効果を明らかにするために、半機構的な階層ベイズモデルを構築した。このモデルは、COVID-19の死亡者数データ(信頼性は低いが、症例データよりは信頼できる)を入力として用い、感染レベルを後ろ向きに構築し、汎ヨーロッパ手法に従った。すなわち、ヨーロッパ諸国の情報をプール化して統計を強化し、個々の対策の効果を各国で同一と仮定したのである。仮定要素がこのように大きいにもかかわらず、得られたCOVID-19の実効再生産数の推定値は、国レベルでのより具体的な研究の数値と一致した。著者たちは、2020年5月4日の時点で、ヨーロッパ11か国の人口の3.2~4%がCOVID-19に罹患していて、その数値は国家間でかなりのばらつきがあると結論付けた。いかなる介入も行われなかったという反事実的シナリオとの比較から、非医薬品介入によって約300万人の死亡が回避されたことが示唆された。この解析からは、最も強い抑制効果のあったロックダウンを除いた個々の対策の効果を導き出すのは難しいが、ロックダウンによって非常に高い確率で再生産数が1未満に抑えられ、この疾患の拡大が抑制されたと、著者たちは結論付けている。
2020年8月13日号の Nature ハイライト
物性物理学:菱面体晶グラファイトにおける強い電子相関
ナノスケール材料:バックリング構造を持つグラフェンの強い電子相関
生態学:小さな生息地断片では個体群動態の変化が生物多様性を低下させる
エピゲノミクス:ヒトのDNアーゼI高感受性部位の指標付け
神経科学:ASDマウスモデルの社会的行動の薬理学的な回復
公衆衛生:ヨーロッパにおけるCOVID-19に対する非医薬品介入の効果を推定するためのモデル化手法
感染症:COVID-19に対する社会政策の影響を定量化する
メカノバイオロジー:皮膚の伸張が皮膚の伸展につながる仕組み
化学生物学:標的タンパク質の分解を誘導するキメラ