Nature ハイライト
細胞生物学:膜内シャペロン複合体は膜タンパク質のバイオジェネシスを促進する
Nature 584, 7822
膜内在性タンパク質は、膜貫通ドメイン(TMD)を複数持つものがかなりの割合を占めている。このような複数回膜貫通型膜タンパク質は、シグナル伝達をはじめ、分子に結合し細胞膜を通過して輸送するなど、多様な機能を担っている。複数回膜貫通型膜タンパク質の個々のTMDは翻訳と同時に小胞体膜へと挿入される。ずっと以前から、小胞体膜内にはシャペロンが存在し、新生TMDが正しく折りたたまれて組み立てられるまで、一時的に保持すると考えられてきた。今回P ChitwoodとR Hegdeは、小胞膜に存在して新生TMDと直接結合するシャペロン複合体の1つを明らかにしている。このシャペロン複合体を破壊すると、数多くの複数回膜貫通型膜タンパク質に影響が及ぶが、1回貫通型膜タンパク質には影響が見られない。これらの知見は、これまでほとんど解明されていなかった複数回膜貫通型膜タンパク質のバイオジェネシスへの新しい手掛かりとなるだろう。
2020年8月27日号の Nature ハイライト
天文学:うみへび座TW星の磁気圏降着領域
ナノテクノロジー:マイクロ歩行ロボット
化学:通常とは異なる分子の結び目
気候科学:南極の棚氷の融解に起因する破砕に対する広範な脆弱性
生態学:ニューギニアの維管束植物相の、専門家により確認されたチェックリスト
昆虫行動学:ワタリバッタを集合させるもの
神経科学:遺伝子の組み合わせがニューロンのアイデンティティーを定める
創薬:キャプシドを標的とするHIV治療
免疫学:cDC1は抗腫瘍免疫応答におけるCD4+ T細胞のプライミングに重要である
細胞生物学:膜内シャペロン複合体は膜タンパク質のバイオジェネシスを促進する
生化学:リボソームのこれまで近づけなかったプルーフリーディング段階を見る