Nature ハイライト

Cover Story:引き返し限界点:地球温暖化によって失われた南極の氷は取り戻せなくなる

Nature 585, 7826

地球の淡水資源の半分以上が、凍った状態で南極氷床に保持されているため、全球の海水準上昇を抑えるには南極氷床の長期的な安定性が重要になっている。今回R Winkelmannたちは、モデル研究を行い、南極氷床が気候変動に対してどの程度脆弱かを明らかにしている。地球の気候が温暖化するにつれて、南極氷床が次第に温暖化の影響を受けやすくなることが示された。さらに懸念されるのは、現在の温暖化レベルが維持されると、南極氷床を現在の形に戻すには、気温を今日のレベルに戻すだけでは不十分で、産業革命以前のレベルよりさらに低い気温まで下げる必要があるということである。今回の結果は、パリ協定で定められている温暖化の限界が達成されなければ、海水準に対する南極大陸の長期的な寄与が劇的に大きくなり、引き返すことが不可能に近くなることを示唆している。

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