Nature ハイライト
Cover Story:腸のプロファイル:腸オルガノイドを調べて明らかになった組織再生の機構
Nature 586, 7828
表紙は、マウス成体腸幹細胞から成長させたオルガノイドの画像で、分化した細胞と増殖中の細胞が染色されている。こうしたオルガノイドは、器官の発生や生理学的性質の研究での利用が増えているだけでなく、新薬の試験にも応用されるようになっている。今回P Liberaliたちは、オルガノイドベースのスクリーニングプラットフォームを提示し、これを用いて、腸の再生を促進する化合物を特定している。数十万種のオルガノイドの表現型フィンガープリントを作製することで、細胞の運命と再生に関与する遺伝的相互作用のマッピングが可能になった。著者たちはさらに、腸の内側を覆っている細胞の分化がレチノイン酸シグナル伝達に依存しており、レチノイン酸の細胞受容体を阻害すると腸の再生を改善できることを見いだした。
2020年10月8日号の Nature ハイライト
天文学:若い原始星円盤における環状構造
物性物理学:量子力学的起源のインダクタンス
化学:過渡種との反応
生物地球化学:一酸化二窒素の収支:人為起源の排出の増加
人間行動:人々を不平等にさらすと富裕層への課税に対する支持が高まる
分子生物学:霊長類の介在ニューロンレパートリーに見られる新機軸
神経科学:新しい信号は視床下部で経路が決まる
神経発生:母体の微生物相は子の神経発生に影響を与える
がん:がんにおけるマイクロサテライト不安定性の巻き戻し
がん:内皮細胞はSLIT2–ROBOシグナル伝達を介して転移を促進する
構造生物学:構造から見たサリチル酸認識機構
構造生物学:分枝アミノ酸製造装置