Nature ハイライト

化学:金属を用いないホウ素化

Nature 586, 7831

ホウ素は、有機分子に複雑性を導入する汎用的な手段となっている。これまで、C–H結合をホウ素化する戦略の全てで、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)などの遷移金属触媒が用いられてきた。今回V Aggarwalたちは、金属を用いずに、光を用いてアルキルC–H結合にボロン酸エステルを組み込む方法を報告している。塩化物触媒を用いる光誘起水素原子移動によってアルキルラジカルが形成され、次にこのラジカルがジボロン試薬と直接反応することでC–B結合が形成される。この方法はまた、第二級位や第三級位の弱いC–H結合よりも、強い第一級C–H結合に対する選択性が高いので、これまでの方法も補完する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度