Nature ハイライト
Cover Story:減らした方がいいのに:引き算による変化を考えるのに苦労する理由
Nature 592, 7853
物体や考えや状況の改善を試みるときは、どのような場合であれ、起こり得る変化について考えを巡らせることになる。今回G AdamsとB Converseたちは、何かを取り除く方がより簡単で有利な場合でも、人間は余計な要素を追加することで、こうした課題を解決する傾向があることを明らかにしている。彼らは、幾何学パズルを解いたり、レゴで作ったものを安定させたり、ミニチュアゴルフコースを改良したりといったさまざまな課題に、人間がどのように取り組むのか調べた。その結果、一般的に人間は、加法による解決策を模索するのがデフォルトで、減法による解決策を考えるのは、より労力を投資することが可能で、そうしようとする意思がある場合のみであることが見いだされた。著者たちは、減法による解決策は認知的に利用しづらく、また、人間は加法による解決策を探し続けているという事実が、我々が過密スケジュール、過度な官僚主義、地球への過度の負担などの課題を減らすのに苦戦している理由の説明に役立つ可能性があると示唆している。
2021年4月8日号の Nature ハイライト
量子情報:捕捉イオンでジャグリング
物性物理学:モアレグラフェンにおける加熱時のスピン凍結
材料科学:リチウムイオン輸送用微多孔質ポリマー
地球科学:地震の断層面解を用いたマグマの粘性の絞り込み
考古学:初期の人類の行動を示す内陸部の証拠
幹細胞:異種間キメラ形成の障壁を克服する
コロナウイルス:慢性COVID-19患者におけるSARS-CoV-2の進化
コロナウイルス:バイオンテック社/ファイザー社製ワクチン候補BNT162b1とBNT162b2の前臨床開発
分子生物学:酵母ゲノムのタンパク質構造