Nature ハイライト
地球科学:地震の断層面解を用いたマグマの粘性の絞り込み
Nature 592, 7853
マグマの粘性は、火山の噴火様式、ひいては災害の可能性を支配する主要な要素だが、これまでは噴火時か噴火後でしか測定できなかった。今回D Romanたちは、2018年のハワイ島キラウエア火山の噴火の前と噴火時の地震の断層面解の方向が、局所的な応力場の背景レベルからの90°の回転を示していたことを明らかにしている。この現象は、これまで粘性の高い噴火でしか観測されておらず、キラウエア火山では観測されていなかった。実験的に得られたプウ・オオ火口の溶岩の粘性によって、局所的な応力場の再配向に必要な粘性のしきい値が厳しく絞り込まれた。著者たちは、キラウエア火山などの世界中の火山で起こる群発地震における断層面解の回転は、比較的粘性の高いマグマが関与する変動の初期の指標となるため、断層面解の方向をリアルタイムでモニタリングすることで、差し迫った噴火の様式に関する重要な情報が得られる可能性があると結論付けている。
2021年4月8日号の Nature ハイライト
量子情報:捕捉イオンでジャグリング
物性物理学:モアレグラフェンにおける加熱時のスピン凍結
材料科学:リチウムイオン輸送用微多孔質ポリマー
地球科学:地震の断層面解を用いたマグマの粘性の絞り込み
考古学:初期の人類の行動を示す内陸部の証拠
幹細胞:異種間キメラ形成の障壁を克服する
コロナウイルス:慢性COVID-19患者におけるSARS-CoV-2の進化
コロナウイルス:バイオンテック社/ファイザー社製ワクチン候補BNT162b1とBNT162b2の前臨床開発
分子生物学:酵母ゲノムのタンパク質構造