Nature ハイライト

物性物理学:モアレグラフェンにおける加熱時のスピン凍結

Nature 592, 7853

液体を冷却すると凍結して固体になることは、周知の事実である。しかし直観に反して、液体ヘリウムは加熱すると固化する。これは、ポメランチュク効果と呼ばれる過程である。今回S IlaniたちとA Youngたちの研究グループは2報の論文で、それぞれ異なる方法を用い、魔法角ねじれ2層グラフェンにおいてこれに類似した効果が電子に起こることを報告している。電子液体金属状態からある種の電子固体状態への相転移の顕著な特徴は、後者のエントロピーが高いことである。著者たちは、モアレグラフェンにおける相関電子の一部が、遍歴性と局在性という通常は矛盾する特性を同時に示すことを実証している。こうした電子の二重性には新しい理論モデルが必要であり、今回の結果は超伝導の根底にある機構にも影響を及ぼす。

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