Nature ハイライト
物性物理学:モアレグラフェンにおける加熱時のスピン凍結
Nature 592, 7853
液体を冷却すると凍結して固体になることは、周知の事実である。しかし直観に反して、液体ヘリウムは加熱すると固化する。これは、ポメランチュク効果と呼ばれる過程である。今回S IlaniたちとA Youngたちの研究グループは2報の論文で、それぞれ異なる方法を用い、魔法角ねじれ2層グラフェンにおいてこれに類似した効果が電子に起こることを報告している。電子液体金属状態からある種の電子固体状態への相転移の顕著な特徴は、後者のエントロピーが高いことである。著者たちは、モアレグラフェンにおける相関電子の一部が、遍歴性と局在性という通常は矛盾する特性を同時に示すことを実証している。こうした電子の二重性には新しい理論モデルが必要であり、今回の結果は超伝導の根底にある機構にも影響を及ぼす。
2021年4月8日号の Nature ハイライト
量子情報:捕捉イオンでジャグリング
物性物理学:モアレグラフェンにおける加熱時のスピン凍結
材料科学:リチウムイオン輸送用微多孔質ポリマー
地球科学:地震の断層面解を用いたマグマの粘性の絞り込み
考古学:初期の人類の行動を示す内陸部の証拠
幹細胞:異種間キメラ形成の障壁を克服する
コロナウイルス:慢性COVID-19患者におけるSARS-CoV-2の進化
コロナウイルス:バイオンテック社/ファイザー社製ワクチン候補BNT162b1とBNT162b2の前臨床開発
分子生物学:酵母ゲノムのタンパク質構造