Nature ハイライト
材料科学:リチウムイオン輸送用微多孔質ポリマー
Nature 592, 7853
微多孔質ポリマー内の自由体積は、イオンの移動を可能にする。しかし、エネルギー貯蔵・変換デバイスにおいて膜として使用することを目的とした、イオン特異性を有する微多孔質ポリマー材料の開発は、いまだにかなり困難である。これは、既知の微多孔質ポリマー内の構造多様性が限られているとともに、その特性のスクリーニングを迅速に行う計算ツールが十分でないためである。今回B Helmsたちは、多様性指向型合成法を用いてこの問題に取り組み、構造的に多様な微多孔質ポリマーのライブラリーを迅速に得ている。彼らは、計算解析を用いて、内部空隙がLi+イオンに特異的なサイズの候補を特定し、これらの候補が高いLi+伝導性と特異性を持つことを実験的に実証した。これらの候補をアノード中間層としてリチウム金属電池に組み込むと、デンドライトの成長が抑制され、サイクル効率が向上した。今回の知見は、選択性の高い微多孔質膜を見いだす際に、多様性指向型合成戦略が有用であることを実証している。
2021年4月8日号の Nature ハイライト
量子情報:捕捉イオンでジャグリング
物性物理学:モアレグラフェンにおける加熱時のスピン凍結
材料科学:リチウムイオン輸送用微多孔質ポリマー
地球科学:地震の断層面解を用いたマグマの粘性の絞り込み
考古学:初期の人類の行動を示す内陸部の証拠
幹細胞:異種間キメラ形成の障壁を克服する
コロナウイルス:慢性COVID-19患者におけるSARS-CoV-2の進化
コロナウイルス:バイオンテック社/ファイザー社製ワクチン候補BNT162b1とBNT162b2の前臨床開発
分子生物学:酵母ゲノムのタンパク質構造