Nature ハイライト
Cover Story:脊椎動物研究のフロンティア:脊椎動物種の質の高い塩基配列がゲノム進化に光を当てる
Nature 592, 7856
「脊椎動物ゲノムプロジェクト(Vertebrate Genomes Project;VGP)」は、約7万種に上る現生の脊椎動物種全てについて高品質なゲノムアセンブリを行い、生物学、疾患、保全の根本的な問題に取り組むことを目指している。今週号では、このプロジェクトが、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類を含む主要な脊椎動物系統を代表する16種の質の高いゲノムを報告する基幹論文を発表して、この目標に一歩近づいている。まず著者たちは、アンナハチドリ(Calypte anna;表紙写真)において塩基配列解読とゲノムアセンブリの方法を評価し、次にその知見を適用して他の15種のアセンブリを行った。得られた結果により、既存のゲノムの誤りの修正や欠落した塩基配列の追加だけでなく、ゲノムの進化と生物学的特性の謎解きも可能になった。このプロジェクトのメンバーはまた、複数の関連論文で他のさまざまな動物のゲノムを報告しており、脊椎動物のゲノム解析に基づいて、神経伝達物質のオキシトシンやバソトシンとそれらの受容体の普遍的な命名法を提案するとともに、カモノハシとハリモグラでは性染色体の複雑な進化を、コモンマーモセットでは母系染色体と父系染色体の間の多様な関係を明らかにしている。
2021年4月29日号の Nature ハイライト
天体物理学:2つの静穏な銀河からのX線爆発
無機化学:ゼロ酸化状態のマグネシウム
気候科学:海水準上昇に見られる氷河融解の大きな痕跡
地球科学:クラトンのキールが侵食されプリュームによって再クラトン化される過程
進化遺伝学:カモノハシとハリモグラの進化遺伝学
代謝:肝臓でのインスリン感受性の時間を計る
植物科学:オーキシンをリアルタイムで検出する
免疫学:NLRP1活性化の調節
免疫学:NLRP1インフラマソームの活性化機構
微生物学:CO2レベルが高い条件ではTCA回路が逆回転する
がん:サイクリンD分解の主要な調節因子