Nature ハイライト 宇宙:中性子星の内部 2006年6月29日 Nature 441, 7097 中性子星EXO 0748-676は、その表面から放射された光に赤方偏移した酸素や鉄のスペクトル線が存在する点で、低質量のX線連星としては特異である。 中性子星内部の物質は極めて高密度で、初期宇宙や地球上の実験系でみられる状態とはかなり異なっており、この物質を調べる唯一の方法は宇宙物理学的な観測である。そこでEXO 0748-676が発するいくつかのシグナルは、その探査手段となる。RXTE、EXOSAT、XMM-Newton衛星から得られたデータを使って星の質量や半径が計算された結果、中性子星に対して「軟らかい」状態方程式はすべて除外されることになった。任意の温度と密度では、「軟らかい」状態方程式は、「硬い」状態方程式によって与えられるよりも低い圧力を示す。もしEXO 0748-676が典型的な中性子星であれば、エキゾチックな凝縮体と束縛されていないクォークは、中性子星の中心には存在しない可能性がある。その代わり、従来とそれほど変わらない状態方程式が当てはまり、その場合は中性子と陽子からできている状況に相当する。 2006年6月29日号の Nature ハイライト 細胞:卵母細胞への近道はない? 宇宙:中性子星の内部 物理:二次元系に確かに存在した相転移 材料:ゲルマニウムに作られた細孔 地球:透水率:万物震動 生態:出入りが大事 神経:神経活動とプロテアソーム 医学:ショウジョウバエのパーキンソン病遺伝子 生化学:リボスイッチを薬の標的に 目次へ戻る