Nature ハイライト 細胞:卵母細胞への近道はない? 2006年6月29日 Nature 441, 7097 生物学では数十年前から、哺乳類の雌は一生の間に排卵する卵子を卵巣にもった状態で生まれると考えられてきた。しかし最近、ハーバード大学のある研究室が行った2つの研究が、この定説に疑問を投げかけた。その1つ目の結果では、雌の性腺は成体になってからもずっと卵母細胞の再生能力を保持していることが示唆された。もう1つはさらに意外なもので、卵母細胞が血液または骨髄の細胞に由来している可能性を示していた。これらの研究は、化学療法を受けたり、早発閉経が起こったりした女性でも受胎能が回復する見込みがあるという点で関心をよび、多くの注目を浴びてきた。そのため、これらの結果の一部を疑問視する論文が6月14日のネイチャー電子版に発表されると、この問題に関する議論が再燃した。今週号に掲載されているこの論文で、ハーバード大学の上記とはまた別のグループは、2匹のマウスの循環系を合体させた実験について報告している。骨髄細胞または循環血中のほかのいかなる細胞についても、成熟した卵母細胞の生成が可能であることを示す証拠は得られなかった。血流によって卵巣に移動した細胞は、血液中にある正常な白血球の性質を示したのである。 2006年6月29日号の Nature ハイライト 細胞:卵母細胞への近道はない? 宇宙:中性子星の内部 物理:二次元系に確かに存在した相転移 材料:ゲルマニウムに作られた細孔 地球:透水率:万物震動 生態:出入りが大事 神経:神経活動とプロテアソーム 医学:ショウジョウバエのパーキンソン病遺伝子 生化学:リボスイッチを薬の標的に 目次へ戻る