Nature ハイライト 細胞:ヘルペスウイルスの潜伏 2006年7月6日 Nature 442, 7098 単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)は、ある種のストレスによって再び活性化されるまで末梢神経系に潜伏し続けることがある。再活性化されると感染力をもつウイルスが再び作り出され、口辺ヘルペスなど、よくみられるヘルペスの上皮感染が起こる。潜伏期間中に発現する遺伝子は1個だけで、ウイルス粒子は作られない。この1個の遺伝子の産物が今回同定され、潜伏の巧妙な仕組みが明らかになった。ウイルスはマイクロRNAを作って感染したニューロンを細胞死(アポトーシス)から守り、再活性化するまで感染を持続させるのである。哺乳類細胞はウイルスの増殖を抑えるためにRNAi(RNA干渉)経路を用いることが知られているが、この例では逆にRNAiがウイルスの助けとなっているのである。 2006年7月6日号の Nature ハイライト 疫学:ナイジェリアの鳥インフルエンザ 工学:結晶のマッピング 免疫:トラブルを探して回る 細胞:分裂を統治する 遺伝:危険な遺産 地球:スローな地震活動 地球:強いところが弱点? 細胞:ヘルペスウイルスの潜伏 細胞:ヒストンコードの解読 目次へ戻る