Nature ハイライト 細胞:電流と治癒能力 2006年7月27日 Nature 442, 7101 上皮が損傷を受けると、調べられた動物すべてに内因性の電流が発生する。また、創傷治癒にかかわる細胞は、加えられた電気的シグナルに応答することも知られている。傷によってこのような電流が生じることは150年以上前から知られていたが、創傷治癒における電流の役割はほとんど無視されてきた。今回、マウスや培養組織を使って、創傷治癒に応答する細胞の動きを調節する遺伝子やシグナル伝達経路と電流との関連が明らかにされたことによって、この興味深い現象の解明への積極的な取り組みが進みそうだ。この現象で中心的役割を果たす分子はホスファチジルイノシトール3’-キナーゼ-γ(PI3Kγ)と腫瘍抑制因子PTENで、損傷によって引き起こされる電気的シグナルに応答する「治療にかかわる」細胞の電気走性を、これらの分子が調節していることが見いだされた。 2006年7月27日号の Nature ハイライト 医学:隠れたつながり 宇宙:タイタンにはメタンの雨が降る 宇宙:惑星間塵の窒素量 生化学:反応しやすい原子を落ち着かせる 生態:高温も強い酸性も平気な微生物 免疫:インフルエンザ流行対策を練る 細胞:電流と治癒能力 発生:血管内腔の作り方 目次へ戻る