Nature ハイライト 生態:高温も強い酸性も平気な微生物 2006年7月27日 Nature 442, 7101 深海の熱水噴出孔は環境条件が極端であるが、そこには多くの微生物種が生息している。だが、存在するはずでもまだ見つかっていない微生物が1つあった。陸上の酸性温泉には好酸性の微生物が生息し、また、深海熱水噴出孔の硫化物鉱床には酸性の微小生息域が存在すると予想されていた。しかし、その種の鉱床からこれまでに単離された微生物は好中性、またはせいぜい耐酸性のものばかりだった。今回ついに、高度好熱好酸性の微生物が熱水噴出孔から単離された。この微生物は細菌(真正細菌)ではなく、古細菌であるDHVE2(deep-sea hydrothermal vent euryarchaeotic 2)系統の一種である。この微生物はpH 3.3〜5.8、水温55〜75℃の環境で増殖する。今回の分離株は最大で古細菌集団の15%を占めており、こうした環境で鉄および硫黄の循環に主要な役割を果たしていると考えられる。 2006年7月27日号の Nature ハイライト 医学:隠れたつながり 宇宙:タイタンにはメタンの雨が降る 宇宙:惑星間塵の窒素量 生化学:反応しやすい原子を落ち着かせる 生態:高温も強い酸性も平気な微生物 免疫:インフルエンザ流行対策を練る 細胞:電流と治癒能力 発生:血管内腔の作り方 目次へ戻る