Nature ハイライト

細胞:どのがんでもやっぱりp53は邪魔者

Nature 444, 7115

ほとんどのヒト腫瘍では、細胞の腫瘍抑制遺伝子であるRbおよびp53が不活性化されている。この法則の例外が網膜芽細胞腫で、もともと細胞死抵抗性の性質をもつ細胞からの腫瘍の誘導にはretinoblastoma 1遺伝子の変異だけで十分で、p53の不活性化を必要としないと考えられていた。しかし、この考えは思い違いから生まれたようだ。ヒトの網膜芽細胞腫は野生型p53を発現しており、p53経路は損なわれていないと考えられていた。つまり、Arf-MDM2/MDMX-p53経路のほかの遺伝子の状態は考慮されていなかったのである。今回、ヒトの網膜芽細胞腫でArf-MDM2/MDMX-p53経路を抑制する遺伝子増幅が見つかった。重要なのは、増幅されたこの遺伝子がコードするタンパク質(MDMX)が、この消耗性小児がんの治療薬の理想的な標的となる可能性があることである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度