Volume 444 Number 7115

Editorials

イスラム諸国にとっても科学から得るところは多いはずだが、それには研究や表現の自由が確保されることと、政府が科学を重視することが必要だ。

p.1

doi: 10.1038/444001a

気候変動への対処について経済面から論じた英スターン・レビューは、注目に値する。

p.2

doi: 10.1038/444002a

米国では、生物テロ関連の研究施設の建設に地元の反対が相次いでおり、このような施設の必要性を検証すべき時期と言えよう。

p.2

doi: 10.1038/444002b

News

地球を救うのに必要な金額は?

How much will it cost to save the world? p.6

doi: 10.1038/444006a

320万年前の猿人「ルーシー」の化石を米国に運んで展示する計画に、多くの古生物学者から反対の声が。

p.8

doi: 10.1038/444008a

地球外知的生命体探査を目指すアレン・テレスコープ・アレイの建設が、資金難で暗礁に。

p.9

doi: 10.1038/061023-15

ブドウに含まれるポリフェノールの一種に、糖尿病や肝障害を防ぐ効果があるとの研究が。

p.11

doi: 10.1038/444011a

受精卵の選別方法の改良で、体外受精の成功率を改善できる可能性が。

p.12

doi: 10.1038/444012b

韓国の黄教授が、幹細胞研究をめぐる裁判で初めて証言台へ。

p.12

doi: 10.1038/444012a

News Features

野心と軽視:イスラム教社会における科学

p.19

核開発やテロ、移民問題などに隠れて見過ごされがちな、イスラム諸国の科学技術の問題を特集する。

doi: 10.1038/444019a

世界のイスラム諸国

p.20

イスラム教国家は57か国に上り、政治、経済、文化、科学の面でも非常に多様である。

doi: 10.1038/444020a

イスラム主義革命

p.22

イスラム諸国でイスラム教政党が優勢になってきているが、科学分野にどのように影響するのだろうか。

doi: 10.1038/444022a

データのギャップ

p.26

イスラム諸国の科学分野への投資と成果については、統計データが不足している。

doi: 10.1038/444026a

豊富な石油と貧弱な科学

p.28

富裕なアラブ産油国でも、科学技術への助成は少ない。

doi: 10.1038/444028a

Q&A 改革者

p.29

イランの元高等教育相で小児科医のモイーン氏に、科学の今後の展望を尋ねる。

doi: 10.1038/444029a

News & Views

フォトニクス:光で鏡を冷やす

p.41

鏡は光を閉じ込め、光は鏡に圧力をかける。このような働きを組み合わせると、小型のたわむ鏡の温度を、入射光の働きだけによって極低温まで下げることができる。

doi: 10.1038/444041a

進化生物学:働くべきか、働かざるべきか

p.42

昆虫のコロニーでは、どの個体が利他的に働くかは、血縁関係ではなく、強制によって決まっていることが多い。しかし、血縁関係のある個体への親近感は潜在していて、抑圧がなくなると表面に出てくる。抑圧された個体を利他的にするのは血縁選択なのだ。

doi: 10.1038/444042a

地球物理学:変化がなかった地球磁場

p.43

はるか昔に塩類鉱床が生じた緯度領域は、地球の磁場が常にその回転軸に沿った方向を向いていたことを示している。このことから、太古に起こった全球的な氷河作用は、回転軸の角度変更が原因ではなかったと考えられる。

doi: 10.1038/444043a

がん生物学:網膜腫にかかわる2番目の変異

p.45

網膜芽細胞腫の原因となる変異についてはよく知られているが、その変異によってどのようにがんが細胞分裂の制御を逃れられるようになるのかという仕組みはわかっていなかった。今回、増殖調節経路に影響する2次的な変異が突き止められた。

doi: 10.1038/444045a

物理化学:多孔質の固体をきちんと並べる

p.46

複数の解析技術を組み合わせるという強力な方法が、多孔質固体の複雑な結晶化の解明に使われている。分子認識が秩序形成の核となり、そこから複雑な格子構造が成長するのだ。

doi: 10.1038/444046a

神経生物学:交差する回路

p.47

ニューロンの情報が送られる経路を変えるように脳を誘導することは可能なのだろうか。損傷を受けた脳領域の機能を別の領域で代行させようとする場合に、このような成果は重要である。

doi: 10.1038/444047a

材料科学:ピンクのキュービット

Materials science: Qubits in the pink p.49

窒素空孔欠陥として知られる結晶の不完全性は、ダイヤモンドに特徴的なピンク色を帯びさせることがある。このような欠陥には、うまく扱えば量子コンピューターの「キュービット」となるという、薔薇色の将来が期待できるかもしれない。

doi: 10.1038/444049a

Articles

気候:蒸発岩の古緯度が示す原生代の低い赤道傾斜角と軸双極子地球磁場

Proterozoic low orbital obliquity and axial-dipolar geomagnetic field from evaporite palaeolatitudes p.51

doi: 10.1038/nature05203

脳:電子神経インプラントによって誘導される運動皮質の長期的な可塑性

Long-term motor cortex plasticity induced by an electronic neural implant p.56

doi: 10.1038/nature05226

細胞:網膜芽細胞腫におけるp53経路の不活性化

Inactivation of the p53 pathway in retinoblastoma p.61

doi: 10.1038/nature05194

Letters

物理:放射圧によるマイクロミラーの自己冷却

Self-cooling of a micromirror by radiation pressure p.67

doi: 10.1038/nature05273

物理:マイクロミラーの放射圧冷却と光機械的不安定性

Radiation-pressure cooling and optomechanical instability of a micromirror p.71

doi: 10.1038/nature05244

物理:マイクロメカニカル共振器のサブケルビン温度領域への光冷却

Sub-kelvin optical cooling of a micromechanical resonator p.75

doi: 10.1038/nature05231

材料:粉末回折法と電子顕微鏡法を組み合わせることにより解明された複雑なゼオライト構造

Complex zeolite structure solved by combining powder diffraction and electron microscopy p.79

doi: 10.1038/nature05200

気候:EPICAドームC氷床コアから得られた松山-ブリュンヌ地磁気逆転に対する10Beの証拠

10Be evidence for the Matuyama-Brunhes geomagnetic reversal in the EPICA Dome C ice core p.82

doi: 10.1038/nature05266

進化:新口動物の系統発生解析から明らかになった脊索動物の単系統性と新たな「珍渦虫門」

Deuterostome phylogeny reveals monophyletic chordates and the new phylum Xenoturbellida p.85

doi: 10.1038/nature05241

生態:野外において交尾後性選択は複数雄と交尾を行う雌の生涯適応度を上昇させる

Post-mating sexual selection increases lifetime fitness of polyandrous females in the wild p.89

doi: 10.1038/nature05206

環境:希少脊椎動物および絶滅に瀕している脊椎動物の地球規模の分布と保全

Global distribution and conservation of rare and threatened vertebrates p.93

doi: 10.1038/nature05237

菌類:植物病原菌である生体栄養性菌類Ustilago maydisのゲノムに基づく考察

Insights from the genome of the biotrophic fungal plant pathogen Ustilago maydis p.97

doi: 10.1038/nature05248

生理:細胞付着記録(cell-attached recording)によって明らかにされたシナプスにおける融合孔開口の2種類の様式

Two modes of fusion pore opening revealed by cell-attached recordings at a synapse p.102

doi: 10.1038/nature05250

細胞:Gタンパク質共役型受容体の1つでは「ゲート電荷」の移動がリガンドの結合に共役している

Movement of ’gating charge’ is coupled to ligand binding in a G-protein-coupled receptor p.106

doi: 10.1038/nature05259

医学:ヒトのXIAPの欠失はX連鎖リンパ増殖症候群を引き起こす

XIAP deficiency in humans causes an X-linked lymphoproliferative syndrome p.110

doi: 10.1038/nature05257

細胞:樹状細胞表面でのMHCクラスII分子の発現は、調節されたユビキチン化によって制御されている

Surface expression of MHC class II in dendritic cells is controlled by regulated ubiquitination p.115

doi: 10.1038/nature05261

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