Nature ハイライト 気候:スノーボールアースに勝ち目あり 2006年11月2日 Nature 444, 7115 古地磁気緯度の赤道付近に原生代の氷河堆積物が存在することは、全地球的な凍結というスノーボールアースとよばれる現象によって説明できる。だが、極端な赤道傾斜が極と赤道の関係を逆転させ、熱帯域に氷河時代をもたらしたという可能性も考えられているし、あるいは地球磁場に関して、現在観測されている事実に基づいただけの根拠のない仮定を使って過去を考察しているということもありうる。エール大学のD Evans は、これらの可能性のうち、どれが妥当かを見分ける方法を考案した。この研究では、古代の蒸発岩盆地の古地磁気を用いて、地球磁場の基準座標系と古気候のそれとの間の整合性を検証している。赤道傾斜角が大きかったという仮説は、このテストに合格しない。なぜなら、赤道傾斜角が大きい条件での全球気候モデルで赤道にあったと予測される先カンブリア紀の蒸発岩が存在しないからである。また、過去20億年にわたって蒸発岩盆地の古地磁気緯度が一貫していたという事実は、その期間にわたって、よく知られた地心軸双極子磁場が安定であったことを示している。 2006年11月2日号の Nature ハイライト 生態:労働者の立場は弱い? 進化:脊索動物は1つの門である 気候:スノーボールアースに勝ち目あり 脳:頭の中のコネのつけ方 細胞:どのがんでもやっぱりp53は邪魔者 物理:万能ミラー 材料:多結晶構造の解明法 気候:地球磁場の逆転 細胞:ゲート開閉は電位で? 目次へ戻る