Nature ハイライト 工学:潤滑剤の新しい波 2006年11月9日 Nature 444, 7116 古典的な境界潤滑は、工学用途で広く普及しており、生態系にも存在していると考えられている。すなわち、基材自体がこすり合うのではなく、各基材を界面活性剤で被覆してその界面活性剤分子の「境界」層がこすり合うようにすることによって、摩擦および磨耗が最小限になるのである。今回、境界潤滑剤で被覆した摺動面を水中に浸した実験から、乾燥空気中の値と比較して2桁も摩擦応力を低減できることが明らかになった。そのメカニズムは、電荷を帯びた頭部基の水和が起こるため、頭部基が結合した表面で摺動が容易になる可能性があるというものである。この新しいタイプの境界潤滑は、よりよい潤滑処理が施された人工インプラントの開発や関節障害の新しい治療に役立つかもしれない。 2006年11月9日号の Nature ハイライト 疫学:ゴリラもHIVの供給源? 地球:ヒマラヤ地震が起こる訳 宇宙:月の内部から噴出したガス 遺伝:勝ち残る遺伝子、消え去る遺伝子 細胞:膜内でのタンパク質分解 工学:潤滑剤の新しい波 気候:気候のシーソー 進化:四肢動物:陸上生活への長い助走 構造生物学:補体の立体構造を明らかにする 目次へ戻る