Nature ハイライト 物理:じっとしている電子 2007年3月1日 Nature 446, 7131 固体物理で最も興味深い現象の1つが、乱れた格子中に置かれた電子が動けなくなると予想するアンダーソン局在である。このモデルは、結晶が欠陥密度の増加に伴ってどのようにして伝導性を失い絶縁体になるのかを説明するために、1958年にP アンダーソンが考えたもので、固体構造の電子特性を理解するために数十年にわたり使われてきている。しかし、真のアンダーソン局在効果は、原子結晶ではいまだに観測されていない。なぜなら原子結晶は、長い時間の後には凍結する揺らぎが加わった周期ポテンシャルというモデル描像からずれる傾向があるからだ。テクニオン・イスラエル工科大学で行われた新しい研究により、摂動を受けた周期ポテンシャルという真のアンダーソン格子で、局在効果が初めて確認された。この研究は、ランダムな揺らぎを加えたフォトニック格子を使って行われた。これらの発見から、乱れと非線形性の間に働く相互作用の基本的な性質にかかわる興味深い問題が提起されそうだ。 2007年3月1日号の Nature ハイライト 物理:時空を解体する 材料:平らなようで平らでないグラフェン 物理:グラフェンの超伝導電流 生理:やさしさタンパク質? 物理:じっとしている電子 発生:変速ギアで泳ぐ 生化学:ウイルスが作る丈夫な立方体 医学:イオンチャネル病のもう1つの原因? 発生:口蓋裂の修復 目次へ戻る