Nature ハイライト 物理:グラフェンの超伝導電流 2007年3月1日 Nature 446, 7131 グラフェンは、物性物理学の分野で1つのモデル系となっている。というのも、グラフェン中の電荷を担う粒子は相対論的速度で運動し、事実上質量をもたないかのようにふるまうからだ。これが、今週号に掲載されている論文で報告されているような、いくつかの奇妙な電子輸送特性につながる。2つの超伝導電極に挟まれたグラフェン層には低温で超伝導電流が流れるが、電流はゲート電圧、したがってグラフェン層中の電荷密度次第で、電子または正孔によって運ばれる。おもしろいことに、電荷密度がゼロの場合でさえも、有限の超伝導電流が流れる。これらの観測結果は、グラフェン内での時間反転対称性として知られている相対論的現象や、輸送機構を解明する手がかりとなる。 2007年3月1日号の Nature ハイライト 物理:時空を解体する 材料:平らなようで平らでないグラフェン 物理:グラフェンの超伝導電流 生理:やさしさタンパク質? 物理:じっとしている電子 発生:変速ギアで泳ぐ 生化学:ウイルスが作る丈夫な立方体 医学:イオンチャネル病のもう1つの原因? 発生:口蓋裂の修復 目次へ戻る