Nature ハイライト 生態:プロテオゲノミクスは情報の鉱脈 2007年3月29日 Nature 446, 7135 各地でみられ重大な環境問題となっている酸性鉱山排水は微生物群集によって生成され、そうした微生物群集はLeptospirillum II群に優占されている場合が多い。この微生物群は、有毒金属を高濃度で含む硫酸溶液(通常はpHが1.0未満)中で増殖する。米国カリフォルニア州のアイアンマウンテンにあるリッチモンド廃鉱で得られるバイオフィルムは、含まれる微生物種の数が比較的少ないため、こうした微生物群集の研究に理想的である。分解能の高いプロテオゲノミクス研究から、近縁細菌集団間および個体間で行われる大きな変異遺伝子群の交換が、この過酷な生態ニッチへの適応に極めて重要であることが示唆された。この結果は、自然環境にある微生物集団に関する研究を大きく進展させるものであり、プロテオゲノミクスを使った今回のような手法は病原体の系統分類などほかにも応用の場があると考えられる。 2007年3月29日号の Nature ハイライト 疫学:季節と疾患流行の関係 気候:気候感度を較正する 生理:ユニセックス・フェロモン 進化:哺乳類出現までの長い道のり 物理:キュリウムの磁性を解明する 物理:スピンを可視化する 化学:キラルなネオペンタン 生態:プロテオゲノミクスは情報の鉱脈 目次へ戻る