Nature ハイライト 物理:スピンを可視化する 2007年3月29日 Nature 446, 7135 エレクトロニクスデバイスやスピントロニクスデバイスなどのさまざまなデバイスの微細化の結果、磁性能動素子はナノメートル領域の寸法に達するようになった。この領域では個々の原子の磁気特性がますます重要になっている。最近まで、原子の磁気モーメント(すなわち、スピン)を画像化する唯一の方法はスピン偏極走査トンネル顕微鏡法であったが、この方法では導電性表面上でしか原子分解能を実現できなかった。そしてこの限界を克服するために、磁気交換相互作用力顕微鏡(MExFM)が考案された。この方法の本質は、磁性ティップをとりつけた原子間力顕微鏡を使って、顕微鏡ティップ原子と試料表面原子のスピン間の磁気交換相互作用力を検知するというものだ。MExFMは実現可能であることが理論から予測されており、今回ハンブルク大学の研究グループが、強磁性ティップを用いて反強磁性絶縁体である酸化ニッケル上の表面原子とそれらのスピンの両方の配列を明らかにし、この技術を使った測定に初めて成功した。 2007年3月29日号の Nature ハイライト 疫学:季節と疾患流行の関係 気候:気候感度を較正する 生理:ユニセックス・フェロモン 進化:哺乳類出現までの長い道のり 物理:キュリウムの磁性を解明する 物理:スピンを可視化する 化学:キラルなネオペンタン 生態:プロテオゲノミクスは情報の鉱脈 目次へ戻る