Nature ハイライト 化学:キラルなネオペンタン 2007年3月29日 Nature 446, 7135 ある分子とその鏡像を重ね合わせることができない場合、その分子は「キラル」である。DNA、タンパク質などの他にも多くの小分子がキラルであり、この性質は自然界の至る所で極めて重要である。X線異常散乱法は、分子の絶対立体配置を決定する最も信頼できる方法となったが、この方法は分子が例えば臭素のような「重い」原子を含んでいる場合でなければ使用できない。Haeslerらは、ラマン光学活性の計測技術の進歩に量子化学計算を組み合わせて、重い原子を含まない分子の絶対立体配置を決定できることを示した。今回使われたのは、非対称な質量分布の結果キラルとなる分子すべての典型である特別に合成されたキラル重水素化ネオペンタンである。この分子の絶対立体配置を分光学的に決定することは、可能性の限界ぎりぎりという非常な難題だったのである。 2007年3月29日号の Nature ハイライト 疫学:季節と疾患流行の関係 気候:気候感度を較正する 生理:ユニセックス・フェロモン 進化:哺乳類出現までの長い道のり 物理:キュリウムの磁性を解明する 物理:スピンを可視化する 化学:キラルなネオペンタン 生態:プロテオゲノミクスは情報の鉱脈 目次へ戻る