Nature ハイライト

化学:キラルなネオペンタン

Nature 446, 7135

ある分子とその鏡像を重ね合わせることができない場合、その分子は「キラル」である。DNA、タンパク質などの他にも多くの小分子がキラルであり、この性質は自然界の至る所で極めて重要である。X線異常散乱法は、分子の絶対立体配置を決定する最も信頼できる方法となったが、この方法は分子が例えば臭素のような「重い」原子を含んでいる場合でなければ使用できない。Haeslerらは、ラマン光学活性の計測技術の進歩に量子化学計算を組み合わせて、重い原子を含まない分子の絶対立体配置を決定できることを示した。今回使われたのは、非対称な質量分布の結果キラルとなる分子すべての典型である特別に合成されたキラル重水素化ネオペンタンである。この分子の絶対立体配置を分光学的に決定することは、可能性の限界ぎりぎりという非常な難題だったのである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度