Nature ハイライト 発生:脊椎動物の起源 2007年4月5日 Nature 446, 7136 ヌタウナギはヤツメウナギと近縁の顎のない脊椎動物である。現存する最も原始的な脊椎動物として知られているが、あまりにも原始的なので脊柱を持たない。この生物の発生を調べると脊椎動物の起源について多くのことが明らかになると思われるが、生きた胚を得るのが非常に困難なため、そうした研究はなかなかうまくいかない。ヌタウナギの最初の発生学的研究は、B Deanによって1899年に発表されたが、その後はごくわずかな試みしか行われてこなかった。今回やっと、神戸の理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの研究チームによって、ヌタウナギの胚発生に関する画期的な研究結果が報告された。彼らは、研究室の水槽からヌタウナギ(Eptatretus burgeri)の胚を6個手に入れ、組織標本作製時の固定処理の前に卵殻から胚を取り出すことで、1世紀前にDeanの標本が被った組織のゆがみが起こらないようにした。今回得られた組織学的知見から、脊椎動物の主要な特徴である神経堤の発生を示す遺伝的マーカーが、ヤツメウナギと同様の発現様式をとることがわかった。 2007年4月5日号の Nature ハイライト 宇宙:銀河系の中心を探る 医学:免疫を飼いならす 神経:光で神経回路を操作 宇宙:ダストは踊る、火星の上で 物理:アト秒のトンネリングをリアルタイムで見る 地球:十分に発達している地球磁場 古生物学:微化石の矛盾する説明 発生:脊椎動物の起源 腫瘍:RANKは転移に重要 目次へ戻る