Nature ハイライト

神経:脳萎縮マウスでの記憶回復

Nature 447, 7141

記憶力を増進したり、さらにはアルツハイマー病などの疾患で失われた記憶を回復させたりできる薬を作るという夢のような話への期待が、重度神経変性の動物モデル(CK-p25 Tgマウス)を使った新しい研究によってぐっと高まった。環境エンリッチメント(生活環境をもっと興味のもてるものにすること)とヒストン・デアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の投与という2通りの方法で、こうしたマウスの学習能力や長期記憶が回復したのである。HDACは、ヒストンのアセチル化を促進し、それによって細胞核内での転写を変化させることで記憶形成を増進していると考えられている。重要なのは、p25マウスには重度の脳萎縮があるにもかかわらず、こうした記憶増進が起こったことだ。記憶回復には既存のニューロンネットワークの再構成が伴っていたことから、こうした再構成によって長期記憶を再び呼び出せるようになった可能性がある。

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