Nature ハイライト 遺伝:癌にかかわるマイクロRNA 2007年6月28日 Nature 447, 7148 腫瘍抑制遺伝子p53は、ヒト癌で変異していることが最も多い遺伝子であり、恐らくほとんどすべての腫瘍で、この遺伝子がかかわる経路のどこかに障害がみられる。p53ネットワークは、非常に多くの傷害に応じて活性化され、増殖停止または細胞死を誘導することにより、不適切な細胞増殖を抑える。マイクロRNA(miRNA)が癌で重要な役割を果たしていることは次第に認められつつあるが、miRNA発現調節の仕組みについてはほとんどわかっていない。今回、p53腫瘍抑制遺伝子ネットワークの構成成分の1つがmiRNAであることが突き止められた。miRNAのmiR-34ファミリーは、それ自体で細胞増殖を抑制するが、p53はこのmiRNAの転写を直接活性化する。哺乳類でのp53の標的は多数知られているが、miR-34はショウジョウバエ(Drosophila)と線虫(C. elegans)にも存在する点が例外的である。このことからすると、p53とmiR-34とのつながりは、p53ネットワークの進化の初期段階で生じたのかもしれない。 2007年6月28日号の Nature ハイライト 保健:カリフォルニアでの喫煙 脳:サルも「確率的推論」を行う 医学:パーキンソン病との取り組み 脳:報酬を求める行動 医学:乳癌遺伝子が新たに4つ 宇宙:もっと複雑になった炭素の化学 地球:地球のコアに取り込まれたケイ素 遺伝:癌にかかわるマイクロRNA 目次へ戻る