Nature ハイライト 医学:パーキンソン病との取り組み 2007年6月28日 Nature 447, 7148 パーキンソン病の病変の兆候は脳のいくつかの領域でみられるが、この病気の特徴である運動症状を引き起こすのは、黒質緻密部にあるドーパミン(DA)ニューロンの死である。なぜこれらのニューロンが傷害を受けやすいかは明らかではないが、細胞内カルシウムの上昇が主要な因子だろうと考えられてきた。今回Chanたちは、DAニューロンがCa2+チャネルに依存して律動的な活動を維持しており、この依存性が年齢とともに強くなることを示した。ところが、高血圧や脳卒中の治療に使われるカルシウム拮抗薬のイスラジピンを投与すると、成人のニューロンを若年のニューロンと同様に、Na+/HCNチャネルに依存するように逆戻りさせることができる。パーキンソン病のマウスモデルでは、この「若返り」がDAニューロンを保護することから、これによって病気の進行を遅らせたり停止させたりする可能性が示唆される。現在使われている抗パーキンソン病薬は対症的な治療効果しかないので、この新たな方法の臨床試験への移行には極めて強い関心が集まりそうだ。 2007年6月28日号の Nature ハイライト 保健:カリフォルニアでの喫煙 脳:サルも「確率的推論」を行う 医学:パーキンソン病との取り組み 脳:報酬を求める行動 医学:乳癌遺伝子が新たに4つ 宇宙:もっと複雑になった炭素の化学 地球:地球のコアに取り込まれたケイ素 遺伝:癌にかかわるマイクロRNA 目次へ戻る