Nature ハイライト

Cover Story:電子の移動を見る:アト秒スケールの電子移動のリアルタイム観察

Nature 449, 7165

電子は固体中を非常な高速度で移動し、原子層や界面を数十から数百アト秒(1アト秒は10−18秒)以内で横切る。この極めて短い移動時間が、将来のエレクトロニクスの速度を最終的に制限するものになるだろう。このような電子の力学的性質が、実時間実験で調べられた。表紙は固体での初めてのアト秒分光測定を示すもので、タングステン結晶を光励起した後に起こる2種類の電子の移動時間に110アト秒の差があることが明らかにされた。この方法は、固体中で電子が原子間隔のほんの数倍の距離を移動するのにかかる時間を測定できるため、究極の速度限界で起こる固体電子過程を探ることができる。したがってこれは、計算科学、データ記憶、そして光起電力技術などの進展に役立つ。こうした技術はいずれも、固体材料のかつてなく小さい構造での電子輸送の精密な制御が必要である。

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