Nature ハイライト 地球:解決したヘリウム濃度パラドックス 2007年10月25日 Nature 449, 7165 地球には、2種類のヘリウム同位体が存在する。地球形成の際に取り込まれた始原的な3Heと、主にウランとトリウムの崩壊によって時間とともに生成されてきた4Heである。ハワイなどのホットスポットから噴出する溶岩は、かなり高い3He/4He比を示すので、脱ガスしていない始原的なマントル貯蔵庫に由来すると考えられてきた。ところが、ホットスポット溶岩ではヘリウムの総濃度は予想されるよりもかなり低いことが観察されており、つじつまが合わない。これは、地球マントルの構造と動態に対する従来の考えに疑問を投げかけている。H GonnermannとS Mukhopadhyayは今回、この見かけ上の「パラドックス」は、噴出するマグマから気体の泡への希ガスの拡散速度の違いで説明できることを示している。この結果は、始原的なマントル貯蔵庫の存在により、ホットスポット溶岩中にみられる変則的な3He/4He比を実際に説明できることを確証している。 2007年10月25日号の Nature ハイライト 植物:PLETHORAの勾配 細胞:幹細胞の目印 宇宙:土星の環の中に見つかったプロペラ 物理:安定性の極限 物理:超固体のしるし 化学:強力な質量分析法 地球:解決したヘリウム濃度パラドックス 生態:群れの効用 発生:動画で見る原腸形成 目次へ戻る