Nature ハイライト

環境:山火事が炭素収支を決定する

Nature 450, 7166

高緯度の森林(北方林)では、数十年にわたって気候、大気中二酸化炭素濃度、および山火事、つまり森林火災の頻度が変化してきた。従来の研究ではこうした変化が大規模な植生の競合と関連づけられていなかったが、今回、100万平方キロメートルにわたるカナダの森林を対象に高木とコケ類との競合がコンピューターモデルでシミュレーションされた。その結果、この地帯の1948年から2005年までの炭素収支(土壌および植物に含まれる炭素量の増減)を左右していたのは、気候変動でも二酸化炭素量の増大でもなく、主として森林火災の発生状況の変化であることが明らかになった。20世紀終盤に森林火災の頻度が高まり規模が拡大したことにより、針葉樹が犠牲となって、落葉樹およびコケ類の繁茂が促された。土壌の水はけが悪いと景域の炭素収支のばらつきが小さくなることから、気候変動および水文学的変化の増大がこうした地域の炭素動態に過大な影響を与える可能性が示唆された。

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