Nature ハイライト 宇宙:吹き出す風で回転にブレーキ 2007年11月1日 Nature 450, 7166 降着円盤からの角運動量の散逸という天文学的問題を説明しようとする理論は、ずっと以前に提出されていたにもかかわらず実証されていなかったが、今回2つの研究グループが、これらを支持する観測結果を報告した。星は、星間ガス雲が重力の影響下で収縮して形成される。これらのガス雲の収縮が始まると、アイススケート選手がスピンしているときのように、どのような回転でも角運動量保存則により加速すると考えられる。だが、回転に抑制がかからないと高速になりすぎて星形成が起きないので、若い星では磁場によって生じる物質のアウトフローを介して回転エネルギーが失われる、と理論では予想されている。今回、この理論を支持する観測結果が得られた。Chrysostomouたちは、円偏光観測により、若い星HH 135-136からのアウトフロー中にらせん磁場を見つけた(Letter p.71)。活動銀河核からのアウトフローが、超大質量ブラックホール周囲で回転する降着円盤からの円盤風として生じると考える理論的根拠はいくつかあるが、このアイデアの証明は一筋縄ではいかないことがわかっていた。今回Youngたちは、偏光分光トモグラフィを用いて、クェーサー風が実際に回転していることを確証した。クェーサーPG 1700+518では、降着円盤からほぼ垂直に吹き出す風が、毎秒約4,000 kmで回転している(Letter p.74)。 2007年11月1日号の Nature ハイライト 神経:楽観主義を科学する 顕微鏡学:高周波走査型トンネル顕微鏡 聴覚:聞くための第一歩 神経:回路ミニ版で情報処理を追跡 宇宙:吹き出す風で回転にブレーキ 数理物理学:平均初到達時間 環境:山火事が炭素収支を決定する 微生物:共通の入り口 目次へ戻る