Nature ハイライト

聴覚:聞くための第一歩

Nature 450, 7166

発生中の聴覚系では、内耳で音が検出できるようになるよりも前に、電気活動が起こる。この自発活動は、聴覚ニューロンの成熟と脳の聴覚経路の確立に必要なのだ。この活動の基盤となる機構が、ラットの蝸牛での一連の実験によって明らかになった。発生中の蝸牛に一時的に生じるケリカー器官という上皮構造中の支持細胞が、自発的にATPを放出して内有毛細胞と聴覚神経繊維を活性化する。この自発活動は「聞くこと」ができるようになると止まるので、音を検出する妨げにはならない。また、末梢性の耳鳴りの際にみられる、感覚に依存しない神経活動には、この経路の再活性化がかかわっている可能性がある。

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