Nature ハイライト 聴覚:聞くための第一歩 2007年11月1日 Nature 450, 7166 発生中の聴覚系では、内耳で音が検出できるようになるよりも前に、電気活動が起こる。この自発活動は、聴覚ニューロンの成熟と脳の聴覚経路の確立に必要なのだ。この活動の基盤となる機構が、ラットの蝸牛での一連の実験によって明らかになった。発生中の蝸牛に一時的に生じるケリカー器官という上皮構造中の支持細胞が、自発的にATPを放出して内有毛細胞と聴覚神経繊維を活性化する。この自発活動は「聞くこと」ができるようになると止まるので、音を検出する妨げにはならない。また、末梢性の耳鳴りの際にみられる、感覚に依存しない神経活動には、この経路の再活性化がかかわっている可能性がある。 2007年11月1日号の Nature ハイライト 神経:楽観主義を科学する 顕微鏡学:高周波走査型トンネル顕微鏡 聴覚:聞くための第一歩 神経:回路ミニ版で情報処理を追跡 宇宙:吹き出す風で回転にブレーキ 数理物理学:平均初到達時間 環境:山火事が炭素収支を決定する 微生物:共通の入り口 目次へ戻る