Nature ハイライト 神経:回路ミニ版で情報処理を追跡 2007年11月1日 Nature 450, 7166 線虫(Caenorhabditis elegans)の神経系には、シナプス結合が明らかにされているわずか302個の神経細胞しかないが、これらがもっと複雑な動物でよくみられる多くの機能を遂行している。そのため、神経回路がどうやって組織化されるのかを研究する場合に、線虫は神経科学研究者にとって理想的な生物となる。Chalasaniたちは、線虫の索餌行動の1つの基盤である神経回路の解析を行った。この回路によって、嗅覚ニューロンは、ほふく運動と旋回運動を一貫して制御する下流の介在ニューロンを活性化、または阻害できる。遺伝学的手法とカルシウムイメージング法とを組み合わせて使うことで、環境からの情報が、感覚ニューロンを介して、走化性と索餌行動を制御する介在ニューロンまで届くのを追うことが可能となった。この神経回路には、哺乳類の網膜で光を感じるのに用いられる回路と著しい相同性がみられ、これは情報処理のため、進化的に保存されたか、あるいは収斂した戦略の注目すべき例といえる。 2007年11月1日号の Nature ハイライト 神経:楽観主義を科学する 顕微鏡学:高周波走査型トンネル顕微鏡 聴覚:聞くための第一歩 神経:回路ミニ版で情報処理を追跡 宇宙:吹き出す風で回転にブレーキ 数理物理学:平均初到達時間 環境:山火事が炭素収支を決定する 微生物:共通の入り口 目次へ戻る