Nature ハイライト 海洋:酵素の亜鉛をカドミウムで代用 2008年3月6日 Nature 452, 7183 大気中から深海への炭素輸送の大部分は海洋性植物プランクトンによって行われており、それに用いられるのは、二酸化炭素の可逆的水和を触媒するカルボニックアンヒドラーゼである。この酵素の活性部位には触媒金属原子として普通は亜鉛が含まれるが、一部の珪藻は、毒性のある元素と一般に考えられているカドミウムを代わりに使っている。珪藻Thalassiosira weissflogiiのこの酵素について、カドミウム結合型、亜鉛結合型、金属非含有型、および酢酸塩結合型の4つのX線結晶構造が今回決定された。この酵素では触媒中心金属が容易に置換可能であり、海洋性珪藻は亜鉛が乏しいとカドミウムを使っていると考えられる。こうした酵素は、海洋という金属が乏しい環境では競争上、大いに有利となる。 2008年3月6日号の Nature ハイライト 環境:フロリダの赤潮 遺伝:周期的に起こるDNAメチル化 構造生物学:RNAの構造を塩基配列から予測する 海洋:酵素の亜鉛をカドミウムで代用 宇宙:プラズマ圏のコーラスライン 物理:クールな低温量子科学 材料:ヒドロゲルで作る人工組織 遺伝:共生菌のゲノム 神経:精神障害に関係する複合体 目次へ戻る