Nature ハイライト 工学:メムリスタンスの登場 2008年5月1日 Nature 453, 7191 基礎電子工学の教科書には、3つの基本的な受動回路素子、すなわちレジスター(抵抗)、キャパシター、インダクターが載っている。しかし約40年前、L Chuaは第4の素子であるメムリスター(memristor)、すなわちメモリー付き非線形抵抗の存在を予測した。そして、ヒューレット・パッカード社の研究者が今回、固体電子輸送とイオン輸送が外部バイアス電圧下でカップリングするナノスケール系で、メムリスタンス(memristance)が自然に生じることを報告した。この発見は、過去50年間に電子デバイスで電流-電圧特性に観測された多くの見かけ上異常なヒステリシス挙動の例を説明するのに役立つかもしれない。メムリスターは機能密度を、トランジスターで実現できるレベルを超えて大幅に増大させることによって、将来の電子回路に重要な影響を及ぼす可能性がある。 2008年5月1日号の Nature ハイライト 工学:メムリスタンスの登場 進化:原始の被子植物の残存種 細胞:三次元空間内での白血球の移動 遺伝:8人のゲノム 免疫:毒素と自己免疫 宇宙:木星の影の下で 気候:10年スケールの気候予測 複雑系:ネットワークの不足部分を推測する 視覚:時計を気にする網膜細胞 量子宇宙論:リアリティ・チェック 目次へ戻る