Nature ハイライト 気候:10年スケールの気候予測 2008年5月1日 Nature 453, 7191 北大西洋の気候変動は、ハリケーン活動や、北アメリカからヨーロッパ、アフリカに及ぶ地域の地表温度と降水の変化を引き起こし、社会に大きな影響をもたらす。原理的には、海洋の現在の状態がわかればこれらの変化を予測できるのだが、必要な亜表層の観測が不足している。Keenlysideたちは、海洋の状態に関する詳細な情報は、10年スケールの有効な予測を行うには必ずしも必要でないことを示している。彼らの方法は、「後ろ向き」予測、つまり過去にさかのぼっての予測では有効なことが証明されており、既存の海面温度の観測結果を使って気候モデルの予測能力を改善する。この新たなモデルは、次の10年間にわたって、北大西洋と熱帯太平洋における気候の自然変動によって、予測される人為起源の温暖化が一時的に相殺されると予測している。つまり、ヨーロッパと北アメリカの地表温度は、この期間中にわずかに低下する可能性すらあるようだ。 2008年5月1日号の Nature ハイライト 工学:メムリスタンスの登場 進化:原始の被子植物の残存種 細胞:三次元空間内での白血球の移動 遺伝:8人のゲノム 免疫:毒素と自己免疫 宇宙:木星の影の下で 気候:10年スケールの気候予測 複雑系:ネットワークの不足部分を推測する 視覚:時計を気にする網膜細胞 量子宇宙論:リアリティ・チェック 目次へ戻る