Nature ハイライト 免疫:毒素と自己免疫 2008年5月1日 Nature 453, 7191 アリール炭化水素受容体(AHR)は、ダイオキシンなどのアリール炭化水素の毒性を仲介することで最もよく知られている転写因子であり、その活性化は、解毒酵素の産生を誘導する。AHRは毒物学やがん研究との関連でよく研究されてきたが、免疫系との機構的つながりは全く知られていなかった。今回、2つのグループが、自己抗原に対する寛容と病原体の除去を担う免疫調節系の一部である2つのT-リンパ球集団であるTreg細胞とTH17細胞の間のバランスの維持に、AHRがかかわっていることを報告している。2つのグループは共に、多発性硬化症のマウスモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎の重症度にAHRが影響を与えることを明らかにしている。この研究は、環境因子によるAHR刺激が、自己免疫疾患の発症に関与する可能性を明らかにし、AHRが免疫修飾のための薬剤標的となる可能性を示している。 2008年5月1日号の Nature ハイライト 工学:メムリスタンスの登場 進化:原始の被子植物の残存種 細胞:三次元空間内での白血球の移動 遺伝:8人のゲノム 免疫:毒素と自己免疫 宇宙:木星の影の下で 気候:10年スケールの気候予測 複雑系:ネットワークの不足部分を推測する 視覚:時計を気にする網膜細胞 量子宇宙論:リアリティ・チェック 目次へ戻る