Nature ハイライト 物理:長持ちする分子磁石 2008年5月8日 Nature 453, 7192 分子磁石とは、そこに含まれる複数の磁性イオンのスピンが強固に結合して、単一の「集団」スピンを生じる分子種をいう。この集団スピンの量子力学的性質は、量子コンピューターの機能ユニットの基盤となる可能性があるため、注目を集めている。現在まで、このような分子的実体の量子スピン状態が、有効な計算を行えるだけの十分に長い寿命をもつかどうかはわからなかったのだが、新しい研究によって十分長いことが示された。Bertainaたちは、このような1つの分子磁石のスピン状態間に、はっきりした量子振動を観測した。少なくともこの系では、振動は長寿命の量子コヒーレンスと一致する。彼らはまた、入念な材料設計を通して、これらの性質を実地に使用できると考えられる系の概略を述べている。 2008年5月8日号の Nature ハイライト 化学:二酸化炭素をケージに閉じ込める 生物物理:HIVのひっくり返る酵素 構造生物学:「非生物」酵素をつくる 宇宙:土星にもあった四季 物理:長持ちする分子磁石 気候:アマゾンの乾燥化の見通し 生態:中立説を考察する 細胞:RESTは幹細胞を維持する 細胞:幹細胞の自己複製 脳:作業記憶の仕事ぶり 目次へ戻る