Nature ハイライト 生態:中立説を考察する 2008年5月8日 Nature 453, 7192 ミシシッピ–ミズーリ流域にみられる河川の巨大ネットワークは、生物多様性と生態系サービスの重要な源である。今回、NatureServeデータベースにある淡水魚の生息分布の解析から、この河川流域にみられる魚類多様性の大規模パターンを、単純な中立メタ群集モデルによって予測できることが実証された。生物多様性の中立説では、餌資源を共有する種からなる群集の構成種間の違いは「中立」なものであり、相対的成功度に影響しないと考える。こうした説をめぐっては議論が続いているが、今回の例に関しては中立説がうまくあてはまる。最小限のパラメーター・セットしかない単純なモデルで、複雑な景観内で観察される生物多様性パターンを捉えられるということは、環境変化の効果的な監視が可能であって、それにより資源管理や保全戦略に寄与できることを示唆している。 2008年5月8日号の Nature ハイライト 化学:二酸化炭素をケージに閉じ込める 生物物理:HIVのひっくり返る酵素 構造生物学:「非生物」酵素をつくる 宇宙:土星にもあった四季 物理:長持ちする分子磁石 気候:アマゾンの乾燥化の見通し 生態:中立説を考察する 細胞:RESTは幹細胞を維持する 細胞:幹細胞の自己複製 脳:作業記憶の仕事ぶり 目次へ戻る