Nature ハイライト

Cover Story:ナメクジウオのゲノム解読:脊索動物の最終共通祖先がもつ遺伝的性質への手がかり

Nature 453, 7198

原始的な脊索動物のモデルとして長年にわたって生物学研究に使われてきた、ナメクジウオのゲノム概要配列が発表された。頭索動物のナメクジウオは線虫に似た小形の生き物で、通常は海底の砂に潜っている。ナメクジウオBranchiostoma floridaeのゲノムの比較解析によって、現代のナメクジウオと脊椎動物は分岐してから5億年以上にわたって別々に進化してきたにもかかわらず、そのゲノム中には祖先となる脊索動物の連鎖群が17個保存されていることが明らかになった。このことから、脊索動物の最も新しい共通祖先の17本の染色体を、実際に再構築することが可能になった。この再構築によって、有顎脊椎動物系列の進化の間に、2回の全ゲノム重複が起こっていたことが明らかになった。また尾索動物、頭索動物、脊椎動物という、脊索動物の3つのグループ間の不明確だった関係もはっきりしてきた。表紙は、フロリダ州アパラチー湾で採集された4尾のナメクジウオ(成体)。頭部が上で背部が右になるように置かれており、黄色の丸い粒は生殖腺である(Article p.1064, N&V p.999, www.nature.com/podcast)。

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