Nature ハイライト 宇宙:月に残る水の痕跡 2008年7月10日 Nature 454, 7201 月の極地の永久日陰にあるクレーターに水氷が存在するかどうかはまだ論争中だが、その可能性が浮上してきている。しかし、月全体としては、遠い昔に月形成をもたらした壊滅的な加熱事象の際に、水を含む高揮発性成分のすべてが事実上散逸したと考えられている。Saalたちは、最新の二次イオン質量分析技術を使い、月で最も未分化な玄武岩である月の火山ガラスに含まれる揮発性成分(CO2、H2O、F、S、Cl)について、それらの含有量の精密な下限値を導いた。噴火前の含水量に対する最良の推定値は、最小値が260 p.p.m.として745 p.p.m.である。これは、月全体としては、水や他の高揮発性成分が完全には枯渇していないことを意味している。 2008年7月10日号の Nature ハイライト 生理:明らかになったオプシンの構造 宇宙:石ころから生まれた衛星 宇宙:月に残る水の痕跡 物理:ボルマン分光法 地球:断層帯の応力 進化:カレイの両眼が片側に寄るまで 医学:IRF4に依存する骨髄腫 心理:多様性が生む協力行動 目次へ戻る