Nature ハイライト 物理:ボルマン分光法 2008年7月10日 Nature 454, 7201 ボルマン効果は、X線回折の物理的特性における最も注目すべき現象の1つで、X線に対して不透明な厚い結晶が急に透明になってしまうというものだ。精密に設定された入射角と波長で入射したX線は、ほとんど何の吸収も受けずに結晶を通過し、あたかも原子平面との相互作用を受けないかのようにみえる。これは、原子の作る電気双極子との相互作用が大幅に減少することが原因である。Pettiferらは今回、ボルマン効果では原子の電気双極子遷移は減少するが、もっとエキゾチックな電気四重極子遷移が強くなることを示した。この効果を活用すると、他の方法では測定困難な電子状態を調べる新種のX線吸収分光法につながる。この最初の報告では、ガドリニウム・ガリウム・ガーネットのX線吸収スペクトルの解析により、吸収現象に関連した四重極子のはっきりした特徴が明らかになったが、その一部は今まで知られていなかったものである。 2008年7月10日号の Nature ハイライト 生理:明らかになったオプシンの構造 宇宙:石ころから生まれた衛星 宇宙:月に残る水の痕跡 物理:ボルマン分光法 地球:断層帯の応力 進化:カレイの両眼が片側に寄るまで 医学:IRF4に依存する骨髄腫 心理:多様性が生む協力行動 目次へ戻る