Nature ハイライト

環境:ヒ素汚染の源がわかった

Nature 454, 7203

史上最大級のものになりかねない大規模汚染が発生中である。今、東南アジア全域で非常に多くの人々が、ヒ素で汚染された井戸水を飲んでいるのだ。ヒ素はヒマラヤが浸食されて生じた堆積物から自然に出てきたものだが、間隙水へのヒ素流出までの移動を支配する過程はまだよくわかっていない。これは、灌漑による大規模な揚水で変化した地下水の流路が十分に解明されていないことが一因である。今回Polizzottoたちは、水文学的測定と生物地球化学的測定を行い、最小限の擾乱しか受けていないカンボジアのメコンデルタでは、河川に由来する地表付近の堆積物からヒ素が流出し、数百年という時間スケールで地下の帯水層を通って再び河川に流入していることを明らかにした。この結果は、アジアのこの他の主要なデルタについて、擾乱前の状態を解明するモデルとなる。

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