Nature ハイライト

植物生理:お熱いのがお好きな植物

Nature 454, 7203

植物は温血動物が発達させたような体温維持機構をもたないため、当然のことながら、葉による光合成活動は周囲と同じ温度で行われると考えられてきた。しかし、炭素同化中の温度と相対湿度の指標として木部セルロースの18O/16O比を用い、39種の樹木について樹冠の葉温を調べた研究から、この考え方が正しくないことがわかった。意外にも、すべての標本採取地点で葉温はほぼ一定となった。亜熱帯であろうと極域であろうと、植物が炭素を同化するときの葉温は約21.4℃だったのである。低温環境にあって温度を上昇させるように展開した枝は、周囲の温度が上昇するにつれて不利益になる可能性があることから、葉温は樹種分布の決定要因となっていることも考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度