Nature ハイライト 神経:脳を配線する 2008年12月11日 Nature 456, 7223 発達中の脳では、多種類の神経細胞が生み出され、その1つ1つが特異的なシナプス結合を作る。個々の軸索と樹状突起は伸長して標的に到達し、そこで伸長を止めるが、結合し合うニューロンにシナプスでの結合パートナーを認識させる機構はよくわかっていない。Moreyたちは、ショウジョウバエの視覚系の一成分であるR7ニューロンで、遺伝子転写調節の促進因子と抑制因子の相互作用が、光感受性色素と軸索誘導分子の合成を協調させる様子を調べた。彼らは、R7の層特異性を調節する重要な段階が、R7と類縁のR8光受容器ニューロンが神経支配する別の層への投射にかかわるもう1つのプログラムの抑制であるという意外な発見をしている。M PetrovicとT Hummelは、やはりショウジョウバエ視覚系をモデルとして用いて、ニューロンがシナプスでの結合相手を見つけるのには、タイミングが非常に重要であることを示している。層特異的なシナプス結合の形成は、細胞に内在するタイミング機構によって調節されており、転写因子sequoiaをいつ、どのくらい長く発現するかによって、それぞれの軸索がN-カドヘリンを発現する別々の層で停止するようになる。 2008年12月11日号の Nature ハイライト 細胞:1個の細胞から前立腺を形成 宇宙:水蒸気のあるホットジュピター 神経:頭に血がのぼる 遺伝:複製の再開 化学:3級アルコールを簡単に合成 地球:大陸の分裂 生態:不確実な回廊 免疫:RNAiで宿主をかわす 神経:脳を配線する 目次へ戻る