Nature ハイライト

医学:RNAiは心疾患の疾患標的

Nature 456, 7224

遺伝子発現を調節する低分子非コードRNAであるマイクロRNAは、心筋細胞で発現していることが明らかにされており、マイクロRNAによる調節の異常は心疾患と関連付けられている。Thumたちは、心筋以外の心臓の細胞でマイクロRNAが心疾患にどのように影響しているのかを調べ、心疾患のマウスモデルの心臓繊維芽細胞では、マイクロRNA-21(miR-21)の発現が増加していることを見いだした。この発現増加によって、シグナル伝達経路の1つが活性化され、心臓組織に対する傷害の程度が悪化する。特異的に働くアンチセンスオリゴヌクレオチド(miR-21に対して働くマイクロRNA阻害剤)を用いてin vivomiR-21を抑制すると、心不全を防ぐことができた。さらに、心不全が起こった後に抗miR-21阻害剤を投与しても、組織傷害を回復できるらしい。この研究は、miR-21が心不全の疾患標的であることを確認するもので、また、マイクロRNAの調節がさまざまな治療に使える可能性を明らかにしている。

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